石ふしぎ大発見展(2000.10.9)


毎秋恒例の「石ふしぎ大発見展」に,久しぶりに参加しました。今年で12回目で,10月7〜9日の開催でした。特別展示は,「石の薬のふしぎ」です。これは,故益富寿之助博士の専門分野でもあります。もちろん,岩石,宝石などの展示即売もあります。広いホールに,いろいろな店が開かれ,ふだんはあまり見ることのできないものもたくさんあります。文字通り,西日本最大の展示即売ショーです。

11時からは「石不思議物語」と題して,益富地学会館理事長の山岡景一郎氏の講演がありました。石との出会い,益富先生との出会い,この「石ふしぎ大発見展」を始めるきっかけなどを,楽しく話してくださいました。以下は,その時のレジュメです。

  
「石不思議物語」山岡景一郎氏 石薬
「石不思議物語」山岡景一郎氏
石薬

石不思議物語

財団法人 益富地学会館 理事長 山岡景一郎(日本ペンクラブ会員)

1.「石」と益富寿之助先生との不思議な出会い

  ・益富先生が初めて「石」と出会ったときの驚き(大正のはじめ商業学校1年生の頃)

  ・益富先生と私との不思議なご縁(昭和53年に取材で初対面 昭和63年に再会)

  ・財団法人設立のいきさつ(認可申請書正式受理・平成3年6月26日・設立7月26日)

  ・財団法人設立10周年

2.「石不思議発見展」の誕生

  ・こんにゃく石をみんなに見せたい…第1回は平成元年11月18日〜19日

  ・益富先生が実行委員長に…第2回は平成2年9月8日〜10日

  ・第1回大阪ミネラルショーは大地震の直後…平成7年3月31日〜4月2日

  ・大阪展は第5回を終了・京都展は第12回目開催中

3.本日の「石不思議物語」

  ・もともと中国からきた説話?柳田国男がひろめた「石の中の魚」
   『宇治拾遺物語』『今昔物語』『雲根志』にも類似の話がある

  ・木内石亭と「金華山の金砂」
   弄石家 木内石亭(名を重暁・呼び名を小繁・膳所藩の郷代官)
   『雲根志』3部作18冊を著す

  ・「殺生石」「三日月石」「鹿の跡石」等不思議な石の話

禅語(人生の座右の銘)としての「石」

  • 禅語としての「石」はたいがい知識的な認識を離れた心境を表す
  • 石は『広辞苑』でも「固いもの,冷たいもの,無情なもの,融通のきかないもの」等非情なものと理解されやすいので「「石上に花を栽える」という表現で,知識や知恵の両者にとらわれない高次の自由な活動を表現します。
  • また,俳句で表すと『秋ふかく 石がささやく 石の声』

近代の禅者 永平寺・熊沢泰禅師の「五徳五訓」 原文のまま

  1. 奇形怪状,無言にしてよく言うものは石なり
  2. 沈着にして気精永く土中に埋もれて,大地の骨となるものは石なり
  3. 雨に打たれ,風にさらされ,寒熱に耐えて,悠然動かぜざるは石なり
  4. 堅質にして,大厦高楼の基礎たるの任務を果たすものは石なり
  5. 黙々として,山岳・庭園などに趣を添え,人心を和らぐは石なり

今回の特別展の「石の薬の不思議」ですが,その薬になるという石が展示されています。薬になる石って,どんなのかなぁと思っていると,意外なことになじみのある鉱物です。水晶をはじめ,黄鉄鉱までもあります。こんな鉱物を粉にして飲むんかいなぁって感じです。でも考えてみれば,植物なんて,土=岩石から栄養をとっていて,その植物をわれわれ人間が食べているのですから,間接的には岩石を食べていることになります。なるほど〜!

石の薬のふしぎ

石薬とは

 今から約2000年前に中国の“漢”に興った東洋医学において薬物を考究する学問の領域を「本草学」と呼んでいます。最初の本草書は「神農本草経」(西暦紀元前2500年ころ)から始まるのですが,中国の薬物である漢薬を研究するには中国の医学である漢方の形成された漢の時代が重要とされています。

 本草学の対象となるものは,動物・植物・鉱物の三界にわたる天然物およびそれらの比較的簡単な加工品で,一般に漢薬と呼ばれています。

 石薬というのは数多の漢薬のうち鉱物性生薬の総称です。

 石薬と良く似た言葉に“薬石”というのがあります。不幸の通知で「石薬の効無く…」で使われる石薬は鍼灸の針のことで,現在は金属の針を使いますが,最初は石を割って鋭く尖った先を使っていました。ですから“薬石”の石は石薬のことではありません。

 さて,石薬にはどのくらいの種類があるのでしょうか?中国“明”(1590)時代の有名は本草書,季時珍著『本草綱目』には約130種の石薬が掲載されています。

 現在,日本の漢方処方(210処方)中で石薬の使われているのは24処方で,使われている石薬は石膏・滑石・龍骨・芒硝・白礬・伏龍肝の6種類です。

正倉院の石薬

 正倉院には約1200年前の天平時代に孝謙天皇,光明皇太后が東大寺盧舎那仏に奉献された先帝遺愛の多くの美術品・器物・薬物がその品目を記した国家珍宝帳,種々薬帳などの古文書と共に12世紀の長い間にわたって収蔵されていて,これらの宝物を総称して正倉院御物といわれています。

 正倉院には前記種々薬帳に記載されている動植鉱三界にわたる60種薬のほか,古さにおいて同格の帳外薬若干とがあり,合わせてこれを正倉院薬物とよんでいます。

 正倉院薬物は,後漢末に中国で体系づけられた漢方医学または東洋医学とも称えられる高度の臨床医学による本草学のオリジナルに基づく唐代の本草書である「新修本草」(659)に記載された薬物の実物の証拠になるものといます。しかし,本草を記したその後の書物において,世の経過とともに付け加えられる注釈などに歪められて記載が混乱していき,ひいては実用の誤られる危険も増大していきます。

 正倉院薬物には1200年前の実物が実存しており,古い本草の記載と照合できることは漢方の本家である中国ですら望めない貴重なものということができます。

 正倉院薬物の中で種々薬帳記載の60種中約30%を占める石薬は次の各種です。

朴消 寒水石 理石 禹余粮 大ー禹余粮 竜骨 五色竜骨 白竜骨 竜角 五色竜歯 似竜骨石 青石脂 赤石脂 鐘乳床 芒硝 石塩 雲母粉 密蛇僧 戎塩 金石陵 石水氷

 この21種中8種()は現在なくなっていて,これ以外の13種が現存しています。

 また,薬帳不載の石薬で現存しているのは次の各種です。

雄黄 白石英 滑石 白色粉 丹 銀泥 紫色粉 礦石各種

 益富寿之助先生は,昭和23年の曝涼から26年にわたる4カ年間,宮内庁の委嘱によって東大名誉教授朝比奈康彦博士を首班とする動物,植物,鉱物,理化学,史学等各分野の専門家で組織された科学調査において石薬の研究を担当されました。

 その研究成果は,「正倉院薬物を中心とする古代石薬の研究 正倉院の鉱物1」として纏められ,この研究により京都大学から薬学博士の称号を受けられました。

 今回の特別展示では益富先生が研究された正倉院薬物中の石薬を中心に,李時珍著『本草綱目』などの本草書に掲載されている石薬や,現在でも使われている石薬などを紹介します。

  
展示即売 展示即売
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第7回「石ふしぎ大発見展<大阪ショー>」

開催日:20001年4月28日(土)〜30(月=振替休日)

会場:大阪天満橋 OMMビル2F Cホール

◎鉱物・化石・宝石・銘石の展示即売,特別展示,講演会,楽しいイベント

◎詳しいお問合せは下記まで

 財団法人 益富地学会館
 〒602-8012 京都市上京区出水通烏丸西入
 рO75−441−3280 FAX075−441−6897


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