第19回京都ショー2007  石ふしぎ大発見展  (2007.10.7)


今回で19回目をむかえる京都での石ふしぎ大発見展。春の大阪での石ふしぎ大発見展とならび,関西では最大級の石の展示会です。とはいえ,ここでのオイラのお目当ては,無数に展示されている石ではなく,講演会です。ふだん聞く機会のない石や地質についての講演です。今日は,「水晶の結晶」という演題です。

石の英雄・水晶 −大地の煌き−

 数ある鉱物の中で,水晶ほど誰もが知っている鉱物はないでしょう。無色透明の結晶や玉を見ると,“水晶”という名前が浮かんでくる人は多いと思います。
 “水晶”という名前,実は鉱物名ではありません。水晶の鉱物名は石英といいいます。英名はQuartzで,最近では石英というよりクォーツといったほうがよくわかってもらえるかもしれません。一般的には石英の透明で美しい自形結晶を水晶と呼びますが,石英の透明できれいなものであれば自形結晶でなくても水晶とよぶこともあります。
 石英は地球表面の地殻,つまり我々が生活している地面では最も目に付く鉱物の一種です。子供達が河原や海岸で拾ってくる、白くて丸いきれいな石のほとんどは石英といっていいくらいです。古代の遺跡からも水晶を使った装飾品が発掘されますが,古代の人々も水晶の透明な神秘的な美しさに魅力を感じていたのでしょう。
 石英は,珪素(Si)と酸素(O)が結びついて,SiOという化学式で表される単純な成分からできています。地殻を作る岩石,例えばよく知られている花崗岩やチャートの造岩鉱物の1つであります。
 石英が地中の岩石中で,自由に結晶成長できる空間が与えられるとき,きれいな六角柱の結晶,“水晶”に成長します。石英の中でもこのような幸運に恵まれる石英はほんの少ししか無く,正に水晶は自然が作った宝物といえるのではないでしょう。
水晶には様々な色や形があり,どれ1つとっても同じものはありません。石のファンに水晶コレクターが多いのは,結晶の美しさの魅力だけでなく,形や色の変化を楽しむことができるからではないかと思われます。
 もう1つ忘れてはならない事は,石英は現代生活には欠かせない大切な鉱物資源であるということです。現在のコンピューターをはじめ,あらゆる電気製品・カメラ・自動車など身近な製品に使われているICなどの集積回路の基板,また太陽電池などには,石英から分離された金属シリコン(珪素・Si)が使われています。
 今回の特別展示では,日本から産出した様々な水晶を集めてみました。日本から見つかった綺麗な水晶や変わった推奨をたくさん見て,水晶の魅力にどっぷりひたっていただけたらと思っています。 (パンフレットより)

 

  
特別展示会場に展示された巨大水晶(島根県益田市馬谷鉱山) 水晶(長野県麻績村四阿屋山)
特別展示会場に展示された巨大水晶(島根県益田市馬谷鉱山)
水晶(長野県麻績村四阿屋山)

 

  
煙水晶,黄水晶など 日本式双晶三連晶(長崎県奈留島)
煙水晶,黄水晶など
日本式双晶三連晶(長崎県奈留島)

 

  
日本式双晶(長野県上川村甲武信鉱山) 高温石英(愛媛県久万町千本峠)
日本式双晶(長野県上川村甲武信鉱山)
高温石英(愛媛県久万町千本峠)

 

講演会  水晶の結晶 ー“かたち”で解く謎

ニコラ・ステノ(1638−1687)
@かたちが違っても,対応する結晶面間の角度は一定である。面角安定の法則
A水晶の結晶は地下の割れ目を通って上昇する水溶液の中に無機的なプロセスで微細な粒子ができ,それが寄り集まって成長した。地中の細菌の働きでできたのではない。
B短柱状,長柱状,平板状など様々な水晶のかたちの変化は柱面と錘面(菱面体面)の垂線成長速度の比で決まる。成長速度の異方性を始めて指摘。
C水晶の結晶の成長は錘面(菱面体面)の成長でリードされ,これに引きずられて柱面が成長する。垂線成長速度の差と柱面の条線模様の説明。
石英SiO2の結晶
・単結晶 水晶,紫水晶,煙水晶,黒水晶など
・双晶 ドフィーネ双晶(右掌同士,左掌同士),ブラジル双晶(右掌,左掌),日本式双晶(傾斜軸),その他  転移双晶と成長双晶,および機械的双晶
・2段階成長 松茸水晶,冠水晶,骸晶,大聖堂状、ねじれ,平板状結晶の連晶
・多結晶集合体 めのう,玉髄,碧玉
石英SiO
2の結晶構造
・SiO4の4面体が頂点を共有してつくる3次元構造
・C-軸方向で見たとき6回対称性をもつもの(六方晶系,高温型石英)と3回対称性をもつもの(三方晶系,低温型石英)が可能。同質多像(多形)現象,石英以外の多形。
・高温型と低温型での構造の違いはSiO44面体連結の角度が60度か,交互に60度から僅かにずれるかだけであるから,温度降下に伴って,573℃でシャープに高温型から低温型に転移する。準安定相はなく,この温度以下ではすべて低温型の構造をとる。
・C−軸方向でSiO44面体のつながりはらせん軸に沿う。右掌型と左掌型。
核形成,結晶成長,エピタキシアル成長
・核形成 均質(自然発生的)核形成と異質(異物上での)核形成
エピタキシアル成長(下地結晶と同じ方位での成長)
種結晶(核形成段階を経ないですぐ成長段階に入る)
・結晶成長 結晶の成長も溶解も界面(結晶界面)で進行する。界面はユニークな場所
結晶面には分子レベルの証拠が残されている。表面マイクロポトグラフ
界面の構造で成長気候が違い。垂線成長速度も違う。
ラフな界面では吸着型成長機構。早い成長速度。結晶面としては消える。
 スムーズな界面では2次元核形成による層成長か渦巻き成長。ゆっくりした成長速度。平らな面として大きく発達。
界面がラフかスムーズがは基本的には結晶構造で決まる。駆動力条件も影響。
柱面と菱面体面のみがスムーズ。底面などはラフな界面。


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