第18回 京都ショー 石ふしぎ大発見展 (2006.10.7)


秋恒例の京都での「石ふしぎ大発見展」に行ってきました。以前は,会場が代わったりしたのですが,近年は京都勧業会館に定着しているようです。お店と講演,それに特別展示と工作教室があります。お店は毎年同じような感じですので,講演と特別展示を目当てにやってきました。

今年の特別展示は「雲根志」ということで,木内石亭のコレクションから現代の奇石まで展示しています。学名よりもその色や形がおもしろい。しかも,講演で木村一郎さんにも,木内石亭の魅力を紹介していただきました。新たな石の楽しさを教えていただき,充実した会になりました。

 

《特別展示》 これも石?!オモシロ石ワールド  −平成版昭和雲根志ー
 「雲根志」は江戸時代の石の蒐集家・木内石亭による石のガイドブックで,石亭が蒐集した石や,各地で見聞した石の情報が紹介されています。石亭(享保9年(1724)〜文化5年(1808))は近江国栗太郡北山田村(現在は滋賀県草津市北山田町)に居住し,当時石亭の石のコレクションは「東海道名所図会」で紹介されたほど有名でした。今の時代は石のコレクションをする人は少なくありませんが,当時石亭のような趣味家は一般の人々からは特異な人と写っていたかもしれません。もちろん,石亭の時代は今と違って科学的な石の見方はほとんどされていませんでした。鉱物・地質学的な知識があるわけないので,石の楽しみ方も,主に色や形などの形態的な面白さによって分類して蒐集していました。
 現在では科学が進歩して,石のコレクションも科学的な知識に裏づけされた分類で蒐集されています。しかし,現代の科学的な目をもちつつ,石亭のころのようなおおらかな気持ちを持って石を見たり集めたりするのも楽しいものです。
 石亭の「雲根志」には現代的な鉱物・岩石名ではない石の名前がたくさん出てきます。残念ながら石亭の膨大なコレクションは四散し,ほとんど現存していないので,雲根志に掲載された石が,現在のどういった石にあたるかわからないものが多いのです。故益富壽之助博士や滋賀県草津市にお住まいの木村一郎先生らは石亭の記述した石の再現に努力されています。
 石亭時代の石の楽しみ方を残しながら,石を紹介した本に,故益富壽之助博士著の「石・昭和雲根志1」があります。この本に紹介されている石の名前は,現在の鉱物や岩石の図鑑に載っていない奇石の名前ばかりです。例えば,桜石・砂漠のバラ・饅頭石・こんにゃく石・蝙蝠石・黄土小僧等々,名前を見るだけでも楽しい石の名前です。もちろんこの本ではこれら奇石の歴史的な物語や由緒来歴など共に,地質・鉱物学的な解説がミックスされ楽しい内容になっています。
 石亭時代から受け継がれた石の名前に加え,その後いろいろな人によってつけられた石の俗名にはユーモアたっぷりのものがたくさんあります。そのいくつかを挙げてみますと,
  植物にちなんだ名前:桜石・菊花石・梅花石・砂漠のバラ・竹葉石・しのぶ石
  動物にちなんだ名前:蝙蝠石・しまうま石・孔雀石・魚眼石・虎目石・蛭石
  食べ物にちなんだ名前:こんにゃく石・饅頭石・やきもち石・麦飯石・米粒石
  道具にちなんだ名前:玄能石・皿石・ねじくぎ石・そろばん石・テレビ石
 このようにいろいろな名前がたくさん出てきます。名前からどんな石か想像するだけでも楽しいと思いませんか。もちろんこれらの石の一つ一つにはすべて現在の地学的な考えで付けられた鉱物名や岩石名や化石名があります。こんな“石”,鉱物や化石のコレクションと共に机の片隅にでも置いて楽しみたいと思いませんか。

 

  
『雲根志』木内石亭 蛇眼石
『雲根志』木内石亭
蛇眼石
  
百足石 天狗の爪石
百足石
天狗の爪石

 

雲根志 内容の大要
前編 霊異類 天神石,蛇眼石,夜光石
    采用類 天狗礫,竜首石,燃土,山浮石
    変化類 貝石,桧化石,落星石
    奇怪類 天狗礫,竜首石,攫石
    愛玩類 丸山八海石,葡萄石,貯水紫水晶
後編 光彩類 水晶
    生動類 石魚,虎石
    像形類 足跡石,石芝,姜石
    鐫刻類
三編 寵愛類 厳之丸
    采用類 陽起石,石炭
    奇怪類
    光彩類 鏡石,琥珀
    鐫刻類
    像形類 蜈,銭石,竜歯石

 

  
これは何? 桜石
これは何?
桜石

 

京都紫石,別名紫石と江戸時代移行の庭石
序:京都には明治時代までの名庭が多くある。たとえば小川治兵衛作,植治の庭などである。そこには大量の紫石が使われている。
1 紫石類とは
  @古くは,シャールスタイン<輝緑凝灰岩>といわれていた。
  A語源はドイツ・ライン川産の岩石である。
  B日本では,多少変質した苦鉄質火山噴出物の火砕岩・・熔岩の集合物の総称。
  C輝緑凝灰岩は岩石名とは言えない。
  D緑泥石・緑簾石・曹長石・方解石などの低変成鉱物が含まれるのが特徴。
  E玄武岩質火山噴出物といえば,ある意味で正確。
2 京都で庭石に使われたのは
  @竜安寺の庭の虎の子渡しは,町家の庭などには
  Aほとんど細工されない。
  B京都の庭に特有か。
3 鴨川のつけかえ否定の契機となった
  @高野川には無い。
  A鴨川には10%以下で入ってくる。

ひとつ正確に研究してみる価値がありそうです。

            参照:『京都の自然史』<京都自然史研究所発行>

  
今回の特別イベント 石に花を咲かそう−桜石アートに挑戦−
今回の特別イベント 石に花を咲かそう−桜石アートに挑戦−


「アラカルト」にもどる

ホームページにもどる