第17回京都ショー 石ふしぎ大発見展(2005.10.8)


今年も行って来ました「石ふしぎ大発見展」。最近は,展示即売会場にはほとんど興味がなく,もっぱら講演を聞き,特別展示を見るために行っているという感じです。

今回の特別展示は,日本の宝石・貴石ということで,日本各地で産出される宝石や貴石が展示されています。日本で産出される鉱物の数は少ないが,種類が豊富だとか。宝石・貴石も種類が多いようです。ただ,宝石の代表ともいえるダイヤモンドだけは産出したことがないとか。なぜジャァ〜!?

◇日本の宝石・貴石鉱物◇
現在地球上では4000種類以上の鉱物が知られていますが,その中でも美しく価値の高いものを「宝石」や「貴石」と呼んでいます。誰にでもよく知られている宝石には,ダイヤモンド・ルビー・サファイア・エメラルド・ヒスイなどがあります。
宝石・貴石鉱物のうち,日本ではダイヤモンドを除くほとんどの鉱物が産出しています。しかし,宝石としての価値があるような美しいものとなるとほんの僅かということです。
日本から産出する鉱物の中で,宝石・貴石として通用するものがいくつかあります。その代表は,新潟県糸魚川地方から産出するヒスイです。これは現在広く流通しているミャンマー産のものよりもはるかに古い歴史を持つ日本特産ともいえる宝石です。日本ではヒスイのほかにも,トパーズ・オパール・アクアマリンなど,海外の宝石産地と比較するとその産出量は僅かながら,時には非常に美しいものがあります。日本で産出している宝石・貴石鉱物を以下に紹介します。
◆ヒスイ(翡翠)[鉱物名:ヒスイ貴石Jadeite NaAlSi2O6 単斜晶系]
日本の宝石鉱物の代表です。新潟県糸魚川市小滝や青海地方では,ミャンマーで発見されるはるか以前の縄文時代から見つかっていました。日本国内のみならず朝鮮半島などの古代遺跡から,糸魚川地方から産出した美しいヒスイの勾玉などが見つかっています。日本では新潟県小滝・青海地方以外でもヒスイ輝石は発見されていますが,宝石といえる美しいヒスイはこの地方のものに限られているようです。

  
ヒスイ(翡翠) コランダム
ヒスイ(翡翠)
コランダム
◆サファイア・ルビー[鉱物名:コランダム(鋼玉) Corundum Al2O3 三方晶系]
サファイアもルビーもどちらもコランダムという鉱物です。深紅色のコランダムをルビーと呼び,その他の色は全てサファイアと呼ばれています。(黄色のコランダムはゴールデンサファイア,ルビーほど濃い紅色でないものはピンクサファイアなどと呼ばれます。)コランダムは日本各地で産出しますが,残念ながら宝石になるような透明度の高く,美しいものは日本では産出しません。奈良県ニ上山付近では透明のきれいなサファイアが産出しますが,宝石にするには如何にも小さすぎます。
◆トパーズ[鉱物名:トパーズ(黄玉) Topaz Al2SiO4(F2OH)2 斜方晶系]
日本でのトパーズの産地は,岐阜県中津川市苗木・蛭川地方や滋賀県大津市田上山が古くから有名です。無色〜空色,透明の美しい結晶が産出します。これらの産地では時に酒黄色のきれいな色の結晶が見つかりますが,日光に当てるとその色は急速に褪せて無色になってしまいます。
  
トパーズ アクアマリン
トパーズ
アクアマリン
◆アクアマリン[鉱物名:緑柱石 Bery Be3Al2Si6O18 六方晶系]
日本でのアクアマリンの産地は,茨城県真壁町山ノ尾や岐阜県中津川市苗木・蛭川地方,佐賀県富士町杉山などが古くから有名です。カットすると外国産に負けないような美しいものがあります。エメラルドはアクアマリンと同じ鉱物の緑柱石で,Crを含む緑色のものですが,残念ながら日本では産出していません。
◆オパール[鉱物名:オパール(蛋白石) Opal SiO2・nH2O 非晶質]
日本から産出する美しいオパールはほとんど流紋岩の球顆に伴うもので,代表的な産地である,福島県宝坂や石川県赤瀬などでは,美しい遊色の出るオパールも産出します。また凝灰岩質の堆積岩などから産出します。オパールは産地によっては水に漬けておかないと美しい遊色が消えてしまうものもあり,注意が必要です。
  
オパール
オパール
◆トルマリン[鉱物名:リチア電気石 Elbaite (宝石になる美しいもの) Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 三方晶系]
日本では宝石といえるような美しいトルマリンはほとんど産出しません。トルマリンの美しいものはリチウムペグマタイトから産出しますが,この産地が日本に少ないからです。日本で有名なリチウムペグマタイトは,福岡県長垂,茨城県妙見山,岩手県崎浜などがあり,ピンクや緑の比較的美しいトルマリンが産出しています。
◆ガーネット[鉱物名:ザクロ石類 Garnet group A3B2(SiO4)3 等軸晶系]
ガーネットは上記の化学組成式のA・Bの位置に入る元素によって多くの種類があります。日本でもさまざまな産出状態で各種のザクロ石類が産出します。日本では宝石・貴石といえるようなガーネットは少ないですが,福島県長久木産の鉄礬柘榴石Almanditeは濃赤色,愛知県久田野産の満礬柘榴石Spessartineはオレンジ色の大変美しいものです。
◆水晶[鉱物名:石英 Quartz Sio2 三方晶系]
水晶には透明なものの他,アメシスト(紫水晶),ローズクォーツ(紅水晶),煙水晶,などがあります。アメシストは日本でも各地で産出しますが,宮城県雨塚山産のものは,透明度・色共に日本一のアメシストです。
  
煙水晶 紫水晶(アメシスト)
煙水晶
紫水晶(アメシスト)
◆瑪瑙(めのう)Agate・玉髄(ぎょくずい)Chalcedony・碧玉(へきぎょく)Jasper [微粒の石英の集合]
日本列島には火山岩が多く,それに伴って瑪瑙・玉髄・碧玉がよく産出します。島根県玉造産の瑪瑙やジャスパーは古代から有名ですし,各地の球顆流紋岩から産出するソロバン玉の形をした玉髄,ソロバン玉石もかわいい鉱物です。また,火山岩に伴うものとは異なりますが,岐阜県月吉から産出する巻貝・ビカリア化石が玉髄化した“月のお下がり”はとても魅力的です。
  
“月のお下がり”
月のお下がり
この他日本のマンガン鉱山から産出する,パイロックスマンガン石・ばら輝石(ロードナイト)・菱マンガン鉱(ロードクロサイト)の美しい結晶は世界に誇れる美しい貴石でしょう。  (石ふしぎ大発見展のパンフレットより)

講演では,「日本の宝石鉱物」と題して但馬秀政氏が,「奈良県天川村産レインボーガーネットについて」と題して下林典正氏が,講演をされました。特に,レインボーガーネットについては,そのレインボー色が発生するメカニズムについての学術的な研究発表がありました。ふだん,このような発表を聞く機会のないボクにとっては,意味不明なところも多かったものの,貴重なお話でした。帰りには,展示即売会場で,一粒300円のレインボーガーネットを買って帰りました。

  
レインボーガーネット レインボーガーネット
レインボーガーネット
レインボーガーネット

奈良県天川村産レインボーガーネットの微細組織
イリデッセンスによって紅色に輝くアンドラダイト(Ca3Fe3+2Si3O12)の変種はレインボーガーネットと呼ばれる。レインボーガーネットは産出が非常に稀で,世界的にもこれまで数例の報告しかなかった。ところが最近,奈良県吉野郡天川村より膨大な量のレインボーガーネットが見つかった。本研究では,電子顕微鏡を用いて,天川村産レインボーガーネットの微細組織の観察を行った。
本試料は,大きさ10mm程度の{110}面に囲まれた12面体結晶で,平均化学組成はAnd96.0Grs3.3Sps0.7である。光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡での観察では,{110}面に平行な成長バンドが発達し,その中に波状のラメラ構造(wavy lamellae:幅10〜20μm)が観察された。表面観察により,wavy lamellae に対応する成長外形に平行なラメラ組織が観察される組織であると考えられる。
c軸に垂直な薄片で観察される{110}セクターの中で{110}面が薄片面に対して斜交するセクターでは強いイリデッセンスが見られるが,{110}面が薄片面に直交するセクターではイリデッセンスは観察されない。したがって,イリデッセンスの原因は{110}面に平行な薄膜の重なりを光が通過する際に起こる干渉によるものと考えられる。さらに高分解能電子顕微鏡によって wavy lamellae の間に{110}に平行な100〜300nm周期の fine lamellae が存在することが明らかになった。この fine lamellae による光の干渉がイリデッセンスの原因と考えられる。
fine lamellae の間に組成差があり,両相の界面がシャープであること,wavy lamellae を横切って連続していること,少なくとも片方のラメラ(Fe-poorなラメラ)に対称低下の可能性があることなどから,fine lamellae は成長後の離溶による組織と思われる。  (講演で配布されたレジュメより)


「アラカルト」にもどる

ホームページにもどる



digidigi mini bannerdigidigi mini bannerdigidigi mini bannerdigidigi mini bannerdigidigi mini banner