【特別寄稿】悪天の北アルプスをBD−1で右往左往し 中央アルプスへ (2004.7.17〜24)   

記 H浜Y行


北アルプスで百名山を登り残している4座(薬師・鹿島槍ケ岳・五竜・常念)を計画するが,日程や行程的に大変。信越は梅雨明け,東北と北陸は大雨と聞き,急遽,富山から入山するのを変更して,長野の松本豊科へ入ることにする。

日程:2004年7月17日(土)〜24日(土) 加古川駅よりBD−1で輪行
行程:JR= バス〜 BD−1→ 徒歩… ゴンドラ→
    17日 加古川=松本=豊科→ほりでいゆ四季の里・須砂渡憩いの森オートキャンプ場(テント泊)
    18日 キャンプ場→三股…前常念…常念岳…三股→キャンプ場→大町温泉郷(野宿)
    19日 大町温泉郷〜扇沢…種池山荘…爺ケ岳…冷池山荘…鹿島槍ケ岳…キレット小屋(泊)
    20日 キレット小屋…五竜岳…五竜山荘…遠見尾根…アルプス平→山麓駅〜神城駅=大町〜
         扇沢黒四ダム往復(野宿)
    21日 扇沢…針ノ木雪渓…扇沢→大町駅=松本=駒ケ根駅→駒ケ根高原すずらん荘(泊)
    22日 駒ケ根高原→北御所登山口…宝剣岳…駒ケ岳…北御所登山口→駒ケ根高原→…
         池山避難小屋(泊)
    23日 池山小屋…空木平…空木岳…木曽殿越…空木岳…駒石…池山小屋…駒ケ根高原→
         駒ケ根駅(泊)
    24日 駒ケ根駅=塩尻=中津川(サイクリング)=名古屋=加古川→自宅

登山:常念岳2857m 爺ケ岳2670m 鹿島槍ケ岳2889m 五竜岳2814m 宝剣岳2931m 
    駒ケ岳2956m 空木岳2864m


  
BD−1
ミズタニ自転車 BD−1

17日(土)曇のち雨 須砂渡憩いの森オートキャンプ場

夜勤明け,急ぎBD−1を走らせ,JR加古川駅から名古屋=松本=豊科駅にたどり着く。食事を済ませ,BD−1にまたがったところ,小雨が落ちてきた。急いで西方の山麓に向かい走り出す。雨がだんだん強くなり,山間に入ると本降りになり,雨具を着ける。濡れネズミになり,やっと立派な「ほりでいゆ四季の里」に着く。しかし,満室で前のオートキャン場に行き,建物の軒下にテントを張らせてもらう。温泉と食事(生ビール付き)は四季の里で。満足してテントにもぐり込む。夜中も風雨でしばしば目が覚める。明日が心配。

 

  
常念岳
常念岳

18日(日)雨のち曇り 常念岳・大町温泉郷

明るくなってきたが,まだ小雨が続く。食事をし,テントを撤収して,出発準備を整え,しばらく天候待ち。

5:30サブザックで雨具を着け,BD−1で出発。道沿いに湧水があり,補給する。冷たくて旨い!三股近くになると,道沿いに多くの車が止まっている。三股駐車場は満車。しかし,BD−1は最奥の一等地へ。車止めの登山口柵にカギをかける。登山指導所で届けを済ませると,雨はほぼ止んでいた。樹林の中を登っていくと,東方が開け,ガスも切れ,緑の山肌が現れる。やがて前常念岳。崩れかけた小さな避難小屋。ケルンがある。少し下がり,大石の間を登っていくと常念岳の頂上にとび出す。

10:30十数人が休んでいる。目当ての槍穂高は上部はガスに覆われている。待っても無理と思い,写真と携帯食をとり,すぐに引き返す。三股でBD−1に乗り,湧水地で汗を流し,水を補給,大休止リフレッシュする。

15:00キャンプ場で全荷物を担ぎ,大町温泉郷に走る。安曇野を走り出すと,太陽が顔を出し,暑くなる。汗を流しながらフーフー走っていると,ロードレーサーが音もなく並走してきた。挨拶をし,いろいろな話をする。松本に下宿しているその大学生は,就職を諦め,大学院に行くことになり,久しぶりに走っているとか。高瀬川まで十数kmで走るBD−1に並走してくれた。その後,練習の坂に向かうということで別れる。暫く辛さを忘れたが,汗が滴る。

17:00やっと大町温泉郷の薬師の湯にたどり着く。大きな露天風呂でのんびりし,食堂に行くと閉まっていた。近くで夕食(生ビール付き)をとる。扇沢行きのバス(17日は雨で通行止め)は終わっているので,公園で寝る。

 

  
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳・五竜岳・針ノ木雪渓
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳・五竜岳・針ノ木雪渓"

19日(月)風雨&ガス 爺ケ岳・鹿島槍ケ岳・キレット

5:48雨の中,バスで扇沢に行く。山麓に近づくと雨が強まる。扇沢バスターミナルで天候待ちをしていたが,雨は降り止まず。

6:30不要物は置き,サブザックで雨具を着けバス道を少し引き返し,沢沿いの柏原新道を登り始める。すぐに尾根に出る。雨は小降りになったが,ガスは多い。登山道はよく整備され,石畳・水平道・石ベンチなど,特に木の屈曲に合わせて道を作っているのは感心した。匠の仕事だ。そうして楽しんでいると,樹林が切れ,風が出てきた。花畑になり,ガスの流れる中から種池山荘が現れた。昨年,新館がオープンし,りっぱな山荘だ。

9:00中に入り,雨具を脱ぎ,ホッとする。天候を聞くと,天気図のカラーコピーがあり,それを見ると低気圧の前線が北から下りてくる様子。展望は諦め,ピークハントを目指す。稜線に出ると風雨とガスが黒部側から吹き上げてきた。爺ケ岳に上がるが誰もいず,何も見えず。すぐに北へ向かう。ガスの中,動く物があるので見ると,雷鳥だ。親鳥の下からヒナが7匹出てきた。しばらく,雷鳥の後を静かに行く。高山植物をつつきながら,ハイマツの下に潜ってしまった。また,一人旅だ。冷乗越がらすぐにオオシラビソ林に囲まれた冷池山荘に着く。先日,新築オープンしたので,木の香りがよく,奇麗だ。17日は満杯で,廊下にも寝たという。今日は少ないというので宿泊を考えたが,先の行程を思い,キレット小屋まで行くことにする。すぐに何もない空き地のキャンプ場があり,稜線に出るとますます風雨とガスが強くなる。

布引山から念願の鹿島槍ケ岳(南峰12:30)に着く。しかし,誰もいず,道標以外何も見えず。強風雨の中,なんとか記念写真を撮り,すぐに吊尾根に行く。北峰はパスして先を急ぐ。途中で,男女のペアがたたずんでいたので,挨拶をする。同じキレット小屋泊まりという。先に行くが天候も道も悪い。下着から登山靴の中まで水浸し。コースペンキの印を見逃さないように急登下降,鎖,梯子を行くと,谷底のようなガスの中にキレット小屋を見た時は助かったと思った。よくこのような所に小屋や縦走路を作ったものだと感心する。

14:30ずぶ濡れで小屋に入り込む。グラスは曇り,身体から水蒸気が上がる。指先がかじかんで宿泊帳に字が書けない。春や秋の低温時なら,ヤバかった。濡れ物を乾燥室に入れる。着替えはないので,冷えて震え出した。食堂のストーブに当たって乾かそうとするが,1時間も離れられなかった。大きな窓の外は,ガスと風雨で何も見えず。小屋の人に聞くと,天気のいい時は,夕食時には立山剣岳の夕焼けが見れるとか。しかし,この1ケ月間は山は見えず,悪天候続きと言う。濡れ物を乾かす以外にすることがなく,他の宿泊者と山の話をしながら,手持ち無沙汰に過ごす。

そして,待望の夕食。夏の最盛期にしては寂しく,5人(私と京都の夫婦,九州の男性,関東の男性,他にテントからの避難自炊組男性3人)のみ。天気をぼやきながら,テーブルにつく。食事は山小屋としては豪華。エビなどの天ぷら,野菜,魚が並ぶ。みそ汁とご飯はお代わりができる。窓の外は何も見えず,明日の天候を心配しながらの食事となった。夜中も強風でガタガタ鳴り止まず。

 

  
黒部ダムにて
黒部ダムにて

20日(火)風雨&ガス 下界曇り時々晴れ 五竜岳・黒四ダム・扇沢

朝も悪天候。扇沢へは山中を登り返すのは無理と判断し,五竜から遠見尾根を下山することにする。

5:00小屋の朝食をたっぷりとる。自炊の3人組が五竜に向けて出発したので,私も6:30に小屋を出る。
風雨とガスは昨日よりも強い。慎重にペンキ印を確認しながら,口ノ沢コル,北尾根ノ頭,赤坂,G5,G4と歩を進める。すぐに下着や靴の中は浸水し,五竜の登りで前を行く3人組を追い抜く。

9:30やっと五竜岳に着くが,誰もいず,写真も撮れず,すぐに北の山荘に逃げるようにして避難する。五竜山荘では8人が休んでいる。男女4人のグループがキレット方面の様子を聞くので,この悪天候では大変だと答える。4人は,計画を変更して,下山することにするようだ。山荘の人に聞き,みんな,遠見尾根からテレキャビンを利用して下ることにする。稜線から東の遠見尾根に入ると強風は止み,ホッとする。大遠見,中遠見,小遠見と下るほどに天気は良くなる。地蔵ノ頭のスキーリフトに着くと,青空になり太陽が顔を出し,暑くなる。アルプス平付近は開発整備されて高山植物園になっており,観光客も散策している。すぐにテレキャビンに乗って下る。

山麓駅の大浴場に濡れ物と共に入り,洗濯もする。入っているのは同じように濡れた登山客。乾燥はサウナ室にしばらく入り,ホッとして湯に浸かる。神城駅には季節シャトルバスが出ていた。私一人が乗り,駅に着く。JR大糸線に乗り,大町駅へ。そこからバスで扇沢へ。さらに全荷物を持って,関電トロリーバスで黒四ダムにたどり着く。ダム前でBD−1にまたがり,ザックを背負い,観光客に記念写真を撮ってもらう。ここではBD−1が注目の的。周辺の写真を撮ったのち,ダム堰堤を走り,対岸の観光船乗り場を過ぎると,道は狭くなり坂も急になる。10%以上の勾配になると押しを強いられる。ロッジくろよんに着き,キャンプの届けと料金を払う。明日の行程を聞かれ,平ノ小屋から五色ケ原と答えると,先日の雨で黒部湖沿いの橋が全部流されて通行できないと言う。しかたなく薬師岳は諦め,扇沢に引き返し,バスターミナルの待合ベンチの横で寝る。

 

21日(水)曇り時々雨,のち晴れ 針ノ木岳雪渓・駒ケ根高原

目を覚まし,携帯食をとり,4:00にヘッドライトをつけ,針ノ木岳を目指し登り始める。暗いので関電道路が交差してわかりにくい。涸れ沢を通り,樹林帯を行くと,大沢小屋。立ち寄り状況を聞き,少し行くと日本三大雪渓の末端が見えてくる。今期の雪渓は少ないと聞いていたが,見た目にも貧弱に見える。雪渓に上がると,風が出てひんやりする。上部は黒雲に隠れ,登っていくと雨粒が落ちてきた。もう濡れネズミはいやなので,下山し,天気のいい中央アルプスに向かうことにする。下っていると5,6人の登山者が登ってきた。私は未練を残さず大沢小屋に寄り扇沢に下る。

ここから全荷物を背負いBD−1でアルペンラインを快適にダウンヒルし,大町駅に着く。JRで松本から駒ケ根駅,さらにBD−1で駒ケ根高原の立派な国民宿舎すずらん荘に行く。宿泊手続をし,こまくさの湯に浸かる。露天風呂は川沿いで見晴らしがよく,実に気持ちがいい。すずらん荘の夕食も天ぷら,刺し身,陶板焼きと豪華。当然,生ビールも付ける。5日ぶりの布団に寝るが,落ち着かなくて,しばし目が覚める。

 

  
宝剣岳・木曽駒ケ岳・空木岳・木曽殿越
宝剣岳・木曽駒ケ岳・空木岳・木曽殿越"

22日(木)晴れ時々曇り 宝剣岳・木曽駒ケ岳・池山

4:00ライトをつけBD−1で駒ケ根橋を渡ると,駐車場があり,その先は一般車両は通行止めになっている。自転車は?北御所登山口でBD−1にカギをかけ,登り始める。オフロードだが,MTBなら快適に走れる。ダムを過ぎると,左に登山道がある。清水平,うどんや峠,小屋場と昔はよく利用されていたようだが,今は出会う人もいない静かな登山道だ。沢の末端に湧水があり,口をつけると冷たくて旨い。行動食をとり,一休みする。勤銘石から伊那前岳に出ると,宝剣岳から空木岳の稜線が一望できる。乗越浄土からロープウェイで上がってきた人が多くなり,騒がしくなる。大石の積み上がっている宝剣岳に鎖を使い上がる。

9:00宝剣岳頂上は大石で,横に小さな祠が祭られている。狭いので写真を撮り,すぐに下山。時間があるので中岳を通り,駒ケ岳に行く。以前,春に木曽側から登った時は雪が多く残っており,稜線が厳しく感じられたが,雪のない今はのんびり展望も楽しめる。北西に見える御嶽山の頂上に白い雲がかかっている。北アルプスはまだ雲に隠れている。写真や携帯食をとり,来た道を下山する。

途中で約200人の中学生の集団登山に遭遇。停滞する。北御所登山口に着き,BD−1で下り,温泉へ。汗を流し,食事もとる。すずらん荘で全荷物を背負い,池山へ林道を走る。途中からオフロードになり,少しの上りでも押しになる。暑くて疲れ,またもや汗が流れる。車止めの駐車場に着き,BD−1にカギをかけ,登山道を行く。途中で分岐があり,旧池山小屋跡,水場と記してあり,行くと小屋跡横に沢があり,湧水が流れている。そこで水を汲み,新池山避難小屋に行くと,ホースで水場から引いていた。小屋は営林署が管理しているらしく,登山者も使えるようだ。ありがたく中に入ると,きれいな木の床で,他に誰もいず,快適に過ごせそうだ。夜は太陽光発電で蛍光灯がともる。小屋の使用料金は自分で決め,箱に入れる。

 

23日(金)晴れ時々曇り 空木岳・木曽殿越

4:00携帯食をとっていると,スズの音が聞こえる。登山者だと思い,出発準備を早める。不要な荷物は小屋に置き,サブザックで出発。尾根に出ると明るくなる。鎖,工事用階段などよく整備されている。大地獄,小地獄には立派な木の橋もある。樹林帯を行くと分岐があり,空木平の左手に行くと,高山植物を豊富に見ることができ,楽しい。林が切れ,展望が開けると,空木岳が緑の高山植物の上にそびえている。すぐに立派な空木避難小屋があり,その前で,一人の登山者が写真を撮っている。挨拶をして聞くと,車の中で寝ていて,スズの音を聞き,上がって来たと言う。スズの主はまだ先なのか?この辺りは,広々としていて,高山植物もあり,植物園もかなわないだろう。小屋の中も奇麗で,ゆっくり一泊したいものだ。水は少し上部で,雪解け水がチョロチョロ流れている。二人で高山植物を見ながら気持ちよく登っていくと,駒峰ヒュッテ前に出る。そこからザレ場を登ると空木岳頂上だ。

7:00十数人が展望を楽しんでいる。今日は北西の御嶽山は雲がなく,乗鞍,その山間に槍穂高も見える。南東には雲上に南アルプスや富士山が浮かんでいる。写真や携帯食をとり,ゆっくりする。突然,ガスが前方に流れ,後方から日が射し,自分の影が投影された。頭部に虹の輪が現れた。ブロッケン現象だ!すぐに写真を撮る。稜線を上下して,木曽殿越へ行き,木曽義仲が馬で越えたという伝説の地を見る。写真を撮り,すぐに引き返す。駒峰ヒュッテより尾根道を行き,大きな駒石の側を見上げながら下る。池山小屋に着くと,地元の人が高山植物の写真を撮りに来ていた。話を聞くと,クマはいると言う。水場で汗を流し,全荷物を背負い,下る。駐車場からBD−1でオフロードで下る。前後サスでなんとか走れるが,パンクが心配で低速。

15:00高原に着き,またもや温泉に行く。ゆっくり露天風呂に浸かり,洗濯をし,食事と生ビールを楽しむ。再び,BD−1で駒ケ根駅に下る。遅くなったので駅で寝ることにして,近くの焼き鳥屋に入り,無事下山の祝杯を焼き鳥と生ビールで上げる。

 

24日(土)晴れ時々曇り 駒ケ根・中津川・加古川

始発に乗り,木曽中津川で途中下車。BD−1で小川沿いの散策道をのんびりサイクリングする。BD−1はこのような使い方がいいようだ。

 

後記

悪天候の鹿島槍ケ岳,キレット,五竜岳は大変だった。春や秋の低温時は,凍死も考えられる。
BD−1は,ある程度オフロードも走れるが,上りになるとハンドルが前後に動く。フロントサスのせいか。その他は,乗りやすく,折りたたみしやすく,扱いやすかった。輪行には便利。
北・中央アルプスで残ったのは薬師岳。次は立山から五色ケ原,薬師,北ノ俣,黒部五郎岳,新穂高温泉と大縦走か。体力が持つかなぁ〜。これも大変だ。


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