憧れの雲ノ平withMTBBY東浜 (2002.7.20〜26)


  

山を始めて約30年,MTBは15年,長年の憧れであった日本最後の秘境=聖地の雲ノ平とその周辺の山々。今年は,何とか6日間の休みが取れた。日程や行程,体力,MTB使用となると最後のチャンスかも?

7月20日 加古川〜高山〜新穂高温泉

夜勤明け。輪行で加古川駅から高山駅へ。バスで新穂高温泉へは夕刻にたどり着く。無料のアルペン温泉は16時で終了。しかたなく足湯で我慢。しかし,顔や身体も洗い,スッキリ。登山指導所で登山届け,コースを確認する。樹間の薄暗いキャンプ場でテントを張り,寝る。

7月21日 新穂高温泉〜鏡平池〜双六池〜三俣蓮華キャンプ場

未明から雨で,テントに水が染み込む。しかたがないのでテントを撤収し,準備をする。5時過ぎ。小雨の中,上のみ雨具を着てMTBに跨り,出発。泥はねに注意しながらゆっくり走行する。オフの林道,悪くない。ワサビ平小屋を過ぎると秩父沢出合い。登山道が雪渓で巻き道になっている。ゴロ石の登りになり,MTBをザックに縛り付ける。ザックとMTBで重さ約35kg。こたえる。

シシウド原や沢を抜け少し登る。木道が現れると鏡平池,山荘にたどり着く。十数名の登山者がテラスで休んでおり,MTBを担いできた私を見て,声を上げる。小雨とガスで槍・穂高の勇姿は見えず。私もカレーを頼み,一息つく。ここから少し急登し,弓折岳の稜線へ上がる。しばらく高山植物の可憐な花を楽しみながら進んでいると,雨は止み,ガスもひいた。雨具を脱ぎ,ザックからMTBを外し,担ぎで行く。

双六小屋が見え,双六池付近はMTBに少し乗ることができた。小屋前でこれから行く鷲羽岳が見える。青空の下,尾根よりすっくと立ち上がっている。ここは槍・穂高の分岐点で二十数名が休んでいた。私も,やっとここまで来たと一安心。写真を撮り,うどんを頼み大休止。時間を取ってしまった。

双六岳との分岐点で巻道ルートを行くと,ゴロ石が多く,MTBを押しと担ぎで行く。途中で,枝道のハイマツ帯に入り込み,行く手が狭まったので,MTBとザックを別々に運ぶ。疲れた。三俣蓮華岳の肩に出る。登る元気がない。三俣山荘が近くに見える。下りもゴロゴロ石で,押しと担ぎ。

夕刻,やっと雪解けの水が流れるハイマツ間,砂地のキャンプ場に着く。荷物を置き,山荘へキャンプ届に行く。山荘は満員。山に詳しい人にMTBで走れる所を聞く。横に鷲羽岳が力強く立ち上がっている。キャンプ場は静かでいいが,水は雪解け水をホースで引いているだけで,炊事場はなし。トイレは山荘で借りる。山荘で食事を摂り,テントで寝る。

7月22日 三俣蓮華キャンプ場〜三俣蓮華岳〜黒部五郎岳〜三俣蓮華キャンプ場

朝,ガスがあたりを包んでいる。サブザックとMTBを担いで,昨日下った道を三俣蓮華岳へと登っていく。頂上直下は岩稜で緊張する。三俣蓮華岳頂上はガスで展望なし。人はいない。ここは岐阜・富山・長野の県境。フロントタイヤ,リアタイヤ,両足,それぞれが県違いに有りか?道標とセルフタイマーで写真を撮り,すぐに黒部五郎岳へ向かう。

小雨交じりの中,少しだけMTBで走ることができた。黒部五郎小屋はいい雰囲気のたたずまいだ。聞くと,稜線は雪田があるため,カールルートを行く。カール前でMTBをデポし,雪渓,渓流,巨岩,高山植物などが美しいカールを行く。岩稜を急登すると尾根に出る。黒部五郎岳の頂上はすぐだ。360度の展望が広がるが,ガスが流れ,遠くは雲で見えにくい。数枚写真を撮り,下山。

帰路は,黒部乗越より源流ルートをとる。雪渓があり,慎重に歩を進め,三俣蓮華キャンプ場に帰り着く。まだ時間が早いが,ガスが出てきて,鷲羽岳を隠す。今日は早く休む。

7月23日 三俣蓮華キャンプ場〜鷲羽岳〜水晶池〜夢ノ平〜高天原

未明。星が輝いている。食事を摂り,4時過ぎにテントを出て,鷲羽岳に取り付く。5時に鷲羽岳頂上に着くが,すでに日の出後。残念。まだ,槍・穂高をはじめ周囲の山頂は赤く染まっている。美しい。360度の写真を撮り,下る。今日は天気がよさそうだ。テントに帰り,待望の天然露天風呂を味わうため,ビバーク用品とMTBを担ぎ,黒部源流に下る。源流標は流れがなく,源流を登り詰めた最後の雪渓の下から流れ出る,高山の光を受けクリスタルに輝く水を味わい,水バックも満タンにする。

すぐに岩苔乗越分岐で7,8人の登山者が休んでいる。ここから下りだが,石や樹木でMTBはほとんど押しと担ぎ。いろいろな高山植物が咲き乱れ,前方の薬師岳を見ながら楽しく下る。途中で水晶池に寄り道。岸辺に出られるのは一箇所だけで,あとは樹木に囲まれ,緑が静寂に広がっている。戻り行くと,樹木がきれ,視界が広がり,草原に地糖が散らばっている。ニッコウキスゲが咲き乱れる高天原に出る。奥に高天原山荘がいい雰囲気で建っている。温泉でビバークはできないので山荘に泊まることにする。

荷物とMTBを置き,タオルと着替え,カメラを持って温泉へ。徐々に硫黄の匂いが濃くなり,ワクワクする。道中は山道で,小石の上り下り,岩場,つり橋を過ぎると,渓谷の対岸に掘っ立て小屋が見え,蒸気が上がっている。カラマツの湯で,露天混浴と女性専用がある。三人の先客がいる。挨拶し,脱ぐのももどかしく,浸る。熱い!水で薄めていないようだ。3日ぶりの,それも念願の山中の天然露天温泉だ。たまりません!ビールがあれば申し分ないが,今回の山では禁酒。他の登山者と話しながらのんびり洗濯もする。

着乾かしながら夢ノ平,竜晶池へ行く。水草がたなびき,静かに美しくたたずんでいる。帰りに新湯にも寄る。こちらは谷あいの小さな岩風呂で,ぬるい。ゆっくり浸かれるが,風呂から出ると少し寒い。

山荘に帰り,リラックスし,テラスで他の登山者とダベリング。やがて夕食。山の食事もよくなり,ご飯も圧力釜で炊いているのか,美味い。食後,登山者の一人が温泉に行くというので,私も続く。カラマツの湯に行くと,誰もいない。新湯に行ったのか?夕暮れ,一人のんびり露天温泉を堪能する。渓流の水音が心地よい。

7月24日 高天原〜祖父岳〜雲ノ平〜三俣蓮華キャンプ場

朝,昨日下った道を,MTBとザックを担ぎ,岩苔を目指し登っていく。岩苔から水晶小屋へ行き,小屋の主人にMTBのデポをお願いする。サブザックのみで,岩苔から祖父岳を越えて,憧れの雲ノ平へ向かう。火山岩と赤茶けた小石が散らばっている。高山庭園である雲ノ平が,火山の噴火によって形成されたことが伺える。

祖父岳頂上からは,周囲の山々,広大な雲ノ平とキャンプ場,そして山荘が美しく広がる。雪渓をトラバースして,火山岩を下る。キャンプ場で水を補給。雲ノ平山荘に寄り,1000円のカレーを頼み,ベンチで一人の女性と話しこむ。彼女は,立山から槍までの大縦走をするという。今日は,高天原温泉だと言う。

その彼女と別れ,祖父岳中腹から日本庭園,雪渓,そして岩場を少し行くと,東方が望める。鷲羽岳,三俣蓮華岳,鞍部に赤屋根の三俣山荘,その奥に槍・穂高が大迫力で目に飛び込んでくる。が,フィルム切れ!残念!源流に急下降し,三俣キャンプ場へ登る。雲ノ平はどのコースとも急坂に守られている。

山荘前の広場で,高天原山荘で出会った二人の女性と話しながら,夕暮れの槍・穂高をのんびり楽しむ。彼女たちも,マイペースで山を楽しんでいるようだ。

  

7月25日 三俣蓮華キャンプ場〜水晶岳〜南真砂岳〜湯俣岳〜湯俣温泉

下山日だが,厳しいだろう。また,源流に下り,水ボトルを満杯(約1.5リットル)にする。岩苔乗越から水晶小屋に行く。野口五郎岳から来た神戸(私も以前は神戸にいた)の女性とカメラのみを持ち,落石に注意しながら,水晶岳を軽快に登る。途中の道には,水晶屑が光っている。水晶岳頂上は展望がよく,北方に立山,黒四ダム,針ノ木,烏帽子岳が遠望できる。

満足し,下山にかかると,オスの雷鳥の飛翔を見る。少し行くと,今度はメスの雷鳥が6羽のヒナを連れてのんびり歩いている。ヒナは少し大きく,親の周囲2〜3mを自由に動き回っている。雷鳥は私たちに警戒することも無く,登山道横を行くので,私たちもゆっくり写真を撮りながら静かに歩を進める。小屋で話をすると,通説では雷鳥のヒナは6羽が最多だそうだ。

小屋前でデポしていたMTBをザックに縛り付ける。小屋の人にコースの注意を聞く。ザレ場,ロープの下り,やせ尾根,岩場,風,水なしなどである。気を引き締めて下山にかかると,やはりMTBを担いでいるので厳しい。木・岩にMTBが接触し,バランスを崩す。真砂岳分岐から竹村新道,南真砂湯俣岳。登り返しは荷がこたえる。やがて,水も切れ,喉が乾く。暑い!樹林帯に入るが,またしても登り。展望台前で奥黒部ヒュッテから来た静岡の人に抜かれる。すごいスピードだ!私はバテバテ。

水音と硫黄の臭いが強くなると建物,つり橋,平地が見え,やっと湯俣温泉だ!着いた!テント場に荷物を落とす。一息つき,晴嵐荘に行くと,静岡の人はすでに風呂に入り,食卓にいる。私にも食事を勧めるが,まずは汗を落とさなければと温泉に直行。食事時,下山のビールが欲しいが,飲むとテントが立てられない。男性4人と話しながら,ホッとして,ここに炊き上げられた釜飯を味わう。暗くなる前にテントを設置し,再度,温泉に入り,ひげを剃り,洗濯をした後,待ちに待ったビールだ!たまりません!やめられません!

7月26日 湯俣温泉〜噴湯丘〜高瀬ダム〜七倉ダム〜大町駅

朝,つり橋を3ヶ所渡り,渓谷奥の噴湯丘を見に行く。槍,北鎌尾根への道標がある。加藤文太郎氏の終期を思い出す。やがて渓谷沿いに強い硫黄の臭いがしてきた。蒸気が上がり,湯が勢いよく流れ出している。奥に鷲羽岳が赤く染まっている。テントに戻り,露天風呂を味わう。あまり使われていない様子で,苔状の物が浮き上がり,快適ではない。テントの人に聞くと,渓流沿いの大石の横に一人用があるそうだ。入ると,いい湯加減。きれいでいい雰囲気の露天風呂で今回の山行きを締めくくれた。

テントと荷物を撤収し,朝食を摂り,MTBを持ってつり橋を渡ると,待望のシングルトラックの水平道が延びている。人や石に注意しながら,MTBで走れる幸せを味わう。登山道なので凸凹,上り下り,木道などでは押しや担ぎが入る。車止めからはオンロード。だが,狭いトンネルがあるので,スピードはひかえ目,ライトを点灯し,対向車は停止して待つ。高瀬ダムからは烏帽子岳への道が別れている。

さらに下り,七倉ダムに出ると,ゲートがある。係員に止められ,ここは自転車は通行禁止だと言われる。看板にも書いているととがめられる。私はそんなことは知らないので,これまで来た山越えコースを説明すると,今後はダメだときつく言われる。謝り,熱くなった道を大町へ下る。

大町駅でブリ寿司弁当とビールを買い,10時34分発の大糸線で,西の車窓から山々を眺めながら帰路につく。今後,このコースはMTBではダメなのか?

追記

東京電力様。各自の責任で申請をしてMTBの通行を許可してもらえませんか?一度,検討をお願いします。

このコースは何回も検討した。一様にMTB担ぎ上げに驚いたが,団体ツアーの質問攻めには当惑した。どこを走るの?重くないの?などの質問が続く。当方は息も絶え絶えで,答えられない。一人がそのMTBはいろいろな所へ行けて幸せだという。私は,あちこちを打ち付けられて泣いていると答える。

今回は一人だったので,おおむねMTBは受け入れられたが,道を荒らすな,人に迷惑だなどと注意も受けた。一般的には,山でのMTBの使用は2・3人がベストだろう。では,マナーを守って,MTBで山を楽しみましょう。

費用

約3万円。走行距離不明。


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